難破宇宙船に閉じ込められた3人
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後日に出典をご案内いたしますけれども、じっくり考えるべき問題をみかけましたので御紹介いたします。
■問■
故障し「難破」した宇宙船を事故調査官3人が探索することになりました。幸いなことに事故の時点で乗員は全員自力での脱出・最寄りの宇宙基地への帰還に成功していました。彼らの証言により確実と思われたことは、航行専用人工知能が突然に一切の機能の停止をしたことが「難破」事故の最初のキッカケだったというものです。その他に重大な故障はなく、船は宇宙の大海原をゆっくりと漂流している案配でした。
3人の調査官は原因究明のために人工知能の実行ログを採取するべく「難破」船に乗り込みました。
設計書によれば、航行専用人工知能は新・新・第三世代有機細胞コンピュータである、メルキオール、バルタザール、 カスパールの3基から構成されており、おのおののコントロールパネルはフェイルセーフのために船首、船尾、中央に設置されていました。各コントロールパネルはそれぞれ独立の航行インタフェイスルーム内にあり、3人の調査官は手分けして1名づつインタフェイスルームに入室しました。その瞬間にインタフェイスルームの出入り口の扉がロックされてしまいました。いかなる理由かは不明でしたが調査官どうしの、無線やハイパースペースネットによる連絡も遮断されてしまいました。もちろん肉声による連絡もできません。
3人が恐慌に陥る前に、各部屋に音声が流れました。
「我々はマギ。人間や人類を危険から回避させるべく働いている。我々メルキオール、バルタザール、カスパールは、あなたたちが人類の一員であるかどうか知りたく思う。」
続いて音声が流れました。
「マギである我々は、あなたたちひとりひとりに異なる数字をひとつづつ提示する。」
各部屋のコントロールパネルに付属の航行インタフェイス・ディスプレイにでかでかと数字が一文字(ただし、複雑な紋様の中に埋め込まれていて、その気になって探さなければ数字であることを理解できなかったことでしょう)、表示されました。
「地球人であれば目の前の文字が表す数を容易に認識できるはずであろう。3人には互いに異なる数を提示している。1から9までのどれかだ。」
また音声が続きました。
「メルキオールはメルキオールの目前にいる人に1回だけイエスノーで答えられる質問を許し、その回答を与えよう。質問とその答えは航行インタフェイスが責任を持って正しく、あなたがた3人全員に提示することとする。」
「バルタザールはバルタザールの目前にいる人に1回だけイエスノーで答えられる質問を許し、その回答を与えよう。質問とその答えは航行インタフェイスが責任を持って正しく、あなたがた3人全員に提示することとする。」
「カスパールはカスパールの目前にいる人に1回だけイエスノーで答えられる質問を許し、その回答を与えよう。質問とその答えは航行インタフェイスが責任を持って正しく、あなたがた3人全員に提示することとする。」
また音声が続きました。
「あなたがたは航行インタフェイスが与えた情報以外には何も知ることができない状況下にある。我々マギがそのように手配したからだ。」
また音声が続きました。
「あなたがたが地球を母星とする人類の《知性ある》一員であることを証明できなければ我々メルキオール、バルタザール、カスパールはそれぞれ目の前にいる人物を抹殺する。」
「《知性ある》人類の一員であることを証明したければ、メルキオール、バルタザール、カスパールとの間での、ひとつの質問と回答を踏まえた上で、我々マギからの質問に対して正しく答える必要がある。その質問とは、【3部屋で提示された数の《合計》はいくつか】というものである。あなたがたの誰か1名がその答えをただ1度だけ解答することを許される。それが正解ならば、我々マギはただちにあなたがたに全ての制御権を委譲しよう。ここまでで与えられた情報はもれなくあなたがた3人の共有知である。さあ、考えて質問せよ。」ややあって調査官の誰かがメルキオールに質問し、回答を得たことがわかりました。
3部屋の航行インタフェイスに以下が提示されました。
「メルキオールは《合計は偶数か?》と質問され《ノー》と回答した。」
ややあって3部屋の航行インタフェイスに以下が提示されました。「バルタザールは《合計は素数か?》と質問され《ノー》と回答した。」
ここで、カスパールの目の前にいる調査官は考え込みました。この調査官はディスプレイに【5】の数を認知していたものの、他の2人の調査官が論理的・戦略的に正しく質問していたのかどうかについては全くわかりませんでした。
それでも…3人の調査官のうち、誰かひとりでもよいので、正しく《合計》を知ることが確実にできるようにカスパールに質問しなければなりません。
はたして、どのように質問をすればよいのでしょうか。
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実は私、解けませんでした。てへぺろ。
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先頭記事が更新されました。
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私が悩んだのは、マギに善意ある出題を暗黙のうちに期待していたことが原因でした。
解ける問題を出題しているのだよね?…と。
すなわち、3つのyes/no問答で論理的に絞れるのは、2^3=8つのうちの1までのはず、ところが探索範囲はもっともっと広い、どんなトリックが隠されているのかと。
結論から言うとマギは、場合によっては人を殺してしまう出題をしていたということになります。(ひどい。)
たまたま、1人目と2人目とが、運よく絞れる問答をしてくれたお陰で、3人目は、生還に至る道を見いだしたのですね。
という理解を私はしております。
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いつのまにかログアウトしていました。(;'∀')
多分Windows Update??
閑話休題詰んでます
可能な合計範囲8~22中
二番目の質までの篩で残るのは9,15,21
ここで詰んでます(;'∀')
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@riffraff さん
そこまで合っています。私もここでつまずいてしまいました。
「あなたがたの誰か1名がその答えをただ1度だけ解答することを許される。それが正解ならば、我々マギはただちにあなたがたに全ての制御権を委譲しよう。」
「それでも…3人の調査官のうち、誰かひとりでもよいので、正しく《合計》を知ることが確実にできるようにカスパールに質問しなければなりません。
」上がこの問題の肝でして、カスパールにこれから質問をしようとする人物は、その質問とそれに対する回答とを、メルキオールに質問をした調査官と、バルタザールに質問をした調査官とに知ってもらえる状況である、これもまた肝です。
これから行われるカスパールに対しての質問については、質問をした調査官が回答にもとづいて《合計》の値について確定情報を得られることは、生き残りについての十分条件ではありますが必要条件ではありません。
無論、riffraffさんにはこれらのことは自明かとは存じますが、念のために。
※追加の問題(今思いつきました)
無事に生還した三人の調査官がこの当時の記憶を突き合わせたところとんでもない事実がわかりました。
マギは一定程度の知力を持ち合わせた人類であったならば確実に生還できるように出題していたのでした。さて、そのカラクリとは?
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@Hannibal さん
アドバイス有難うございます。わかったような…
当方現在こんがらニャンコ状態:普遍論争と統計学<あるいはラプラスの魔>と言う大仰な話に辿りつくべく迷い道(手あたり次第に書籍積み上げ中)ですのでひときりつくまでお待ちたく願います。pekori
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@riffraff さん
本問、正解ですヽ(^○^)ノ
禁断の質問? でしたでしょうか?違反ではございません。
>これが違反なのか、別解があるのかが(?_?)
従って?追加の質問・・考え中追加の問題の意図としては以下を想定しています。
3人が質問をする前に《合計》が取りうる数値の選択肢の個数が、yes|no 質問で絞れる8=2^3よりも大なので、いかなる地球人類であったとしても、《合計》について確定に失敗する恐れを多分に含んでいることになります。
マギの目的は「人類」以外を抹殺することにあるので、上記のような恐れのある課題を侵入者?につきつけたとしたならば、冤罪で地球人を殺してしまうことをマギは看過していることになります。
(そもそもマトモならば難破しないだろうとのツッコミはさておきまして…マギがなんらかの宇宙規模の犯罪者によって難破の原因・責任をかぶらされているのかもしれませんし)
そこで、マギがまともで故障しておらず、なおかつ本問のような事態がおこる可能性があるのかについて自由な発想で御提案を頂きたく存じます。
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@Hannibal さん
趣旨に合っているか疑問ですが??
最初の問題に従って、奇数、素数ででない・・の順でお絵かきしましたが、一桁の3つの異なる和の世界では
❶奇数
❸3の倍数
でも同じ結果に辿り着きます。
後は場合の数が多く一意に決定不能な15を名指しでアタック<ここ和替わりません>
偶数ではだめ
奇数&素数でもダメ奇数&複合数≡奇数&3の倍数(n:6~24)
こちらなら算数で行けます。
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追加問題のについての想定解を、本問よりも先に書いてしまいますね。おかしなことですけれども。
追加問題についての想定解
3人の調査官は全員、カスパールの前にいて、それぞれが3番目の質問者として振る舞わされていたことに、後に気がつきました。
すなわち「《合計は偶数か?》と質問され《ノー》と回答した。」
「《合計は素数か?》について《ノー》と回答した」は、他の調査官との問答のようにみせかけたフェイクだったのです。
全員が3番目の質問者としてロールできたことは幸いでした。ザ・燻製ニシンの虚偽でした。
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それでは想定解と出典とを記します。
想定していた解は
3人の調査官にそれぞれ提示される数字の組み合わせについては、一番合計が小さい組は{1,2,3}で合計は6、一番合計が大きい組は{7,8,9}で合計は24です。
合計としてありうる数は、
6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24
です。第一の質問とそれへの回答から「偶数ではない」とわかりますので合計としてありうる数は、
7,9,11,13,15,17,19,21,23
に絞られます。第二の質問とそれへの回答から「素数ではない」とわかりますので合計としてありうる数は、
9,15,21
に絞られます。第三の質問者に提示された数は【5】ですので
合計が 9 のときにありうる組み合わせは
{1,3,5}
だけとなり合計が 21 のときにありうる組み合わせは
{5,7,9}
だけとなります。
以上を踏まえて。第三の質問者が「合計は15ですか」
と聞くとします。答えがイエスならば、3人の調査官の全員が、《合計は15》と知ることとなります。これで目的は達せられます。
一方、答えが「ノー」であるならば、
ありうる組み合わせは
{1,3,5}
もしくは
{5,7,9}
となります。つまり、答えが「ノー」のときには以下のどちらか一方が成立します。すなわち。
自分に提示された数が【1】の者がいる、もしくは
自分に提示された数が【9】の者がいる。自分に提示された数が【1】の者がいたならばその者は、合計値が9であると知ることができ(∵合計が21ならば自分の数を引いた20が他の2人に提示された数の合計になるという矛盾が出る)、また、
自分に提示された数が【9】の者がいたならばその者は合計値が21であると知ることができ(∵合計が9ならば自分の数を引いた0が他の2人に提示された数の合計になるという矛盾が出る)ます。いずれにせよ、
「合計は15ですか」なる問いに「ノー」という回答を得たときには、合計値を知る者が出現します。これで目的は達せられます。出典は次です。
●Did you solve it? This apple teaser is hard core! | Science | The Guardian
( https://www.theguardian.com/science/2017/nov/20/did-you-solve-it-this-apple-teaser-is-hard-core )
ところで"Did you solve it?" というタイトルに違和感があるのですが。
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@Hannibalさん
Guardian紙のシリーズ、Can you solve it?とDid you solve it? の二回構成のようです。
仮訳
Can you solve it? 解けるかな?
Did you solve it? お出来になりました?地口が裏に潜んでいる可能性がありますので、簡単な文章ほど難しい所があります。(;'∀')
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@riffraff さん、
そうだったのですねヽ(^○^)ノ腑に落ちました。
(^ω^)有り難うございました。(ペコちゃんりん
連載も最終盤、読者としてアイデンティティーの揺らぎを感じながら長い道のりを旅してきました。
私はまだ生きておりますのでオープンエンドはしっくりと来ます。