これはなんでしょう(4)
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先頭記事が更新されました。
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このクイズの答ではありせんが、昨夜発表のブラックホールの像は、VLBI(とても長ーいベースラインの干渉計)で電波測定して得られたそうです。
その実体は、地球規模に配置された電波望遠鏡群による同時観測だそうです。例えば、この資料に説明があります(https://www.utu.fi/en/units/finca/research/Tuorla2015/programme/PublishingImages/Pages/home/Turku_2015_VLBI_lect_web.pdf )。
離れた2箇所で、同じ電波源からの電波を捉え正確な時刻とともにデジタル記録し、後から電波強度の相関を見ると(仮想的に干渉させると)、場所による到達時間のズレを知ることができます。そのズレは電波源と観測位置の距離によって変化するので、電波源の位置が分かるということだと思います。位置が分かれば、イメージングもできそうです。その解像度は、2箇所が離れていればいるほど、また、電波の波長が小さいほど、大きくできるので、もし非常に遠くの小さいものを解像したいときには、できるだけ距離の離れた複数の場所で、波長の短い電波を捉えることになるのだと思います。地球上で実現可能な最大距離は地球の直径程度になり、それが地球規模のVLBIです。と理解しました。論文は、以下にあるので、読めばもっと正確なことが分かると思います。
https://iopscience.iop.org/journal/2041-8205/page/Focus_on_EHT
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@ソム さん 拝見しました
「宇宙マイクロ波背景放射」の時代から見ると遠い道のりを歩いてきたものだと思います。
同時にノイズ処理はどうやっているのだろうと気になるのは性というものでしょう。「国際研究実験OPERA」のことが脳裏をかすめるようでは、雀百まで・・・orz
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@riffraff さん
同時にノイズ処理はどうやっているのだろうと気になるのは性というものでしょう。
ノイズ処理というよりは、逆問題というのでしょうか、一種の推定だと思います。論文でも書かれており、また、EHTの画像処理ディレクターの方のツイートにもありますが、チームを4つに分けて、それぞれの間で情報を共有することなく、独立の方法で像を再構成したそうです(第4論文のFig4)。
https://iopscience-event-horizon.s3.amazonaws.com/2041-8205/875/1/L4/downloadFigure/figure/apjlab0e85f4_lr.jpgこのようにして(人間の側の)バイアスを除去しているみたいです。
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@ソム さん
気になっているのは4つのチームが独立してやっていますが、アルゴリズムは1セット(established method (CLEAN) and a newer technique (regularized maximum likelihood))だということです。この二つのアルゴリズムにて採用されたフィルター等によってはCorrelated Errorを因子として検出する可能性が残ります。そのこで気になるのはa newer technique (regularized maximum likelihood)のValidityをどう検証したかです。我ながらとことん頑固な保守主義者です。(;'∀')
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@riffraff さん
EHTの第4論文の2.2章に概論がありました。専門的なために理解は追いついて居ませんが、次のように理解できました:
干渉計測によるイメージングは、ill-posedな逆問題であり、得られる再構成画像は一つに決らない。計測を越えた仮定や制約が必要になる。
イメージング・アルゴリズムには大きく2つカテゴリがある。1つが"Inverse modeling"であり、もう1つが"Forward modeling"である。今回の研究で用いられた CLEAN法が前者であり、RML (Regularized Maximum Likelihood)法が後者である。
- CLEAN
逆モデリング法。1970年代頃から~。1種のdevonvolution法。VLBIやラジオ干渉計測では標準的な方法である。画像を点光源の集まりとして扱う。 - RML
順モデリング法。画像をピクセルとして扱う。1970年代頃から~。研究の歴史は長いが、一般に光学干渉計測で使用され、ラジオ干渉計測ではCLEANほど用いられない。しかし、EHTでは順モデリング法に力を入れ開発してきている。Regularizer(結果に対する制約のようなもの。画像のエントロピーや滑らかさ、スパース性などを評価する)の選択が重要。
今回の4つのチームは、2チームが RML, 2チームが CLEAN を使って結果を出したようです。EHTでの売りはおそらくRMLで、こちらで得られた画像が発表で使われています。おそらくCLEANほど分野では一般的ではないため、CLEANと並列して評価しているのではないでしょうか。この理解が正しければ、(この分野で)新しい方法の結果を、標準的な方法と比較することで確認しており、riffraffさんの懸念に形としては応えられていそうです。
- CLEAN
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@ソム さん
第4論文私も読みました。多分大丈夫とは思いますが多変量解析の歴史からの危惧です。異なるアルゴリズムでの分析結果間の整合性が高い場合、感度も含めて採用されたアルゴリズム間にcorrelated errorが内在していることがあるからです。
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@riffraff さん
異なった方法でも、同じ測定技術と歴史に基づき解析している限り、推定のための制約や仮定に共通のバイアスが含まれることはありうると思います。自然界に対するこれまでの知見は常に不完全であり、漸進的なものであるのでしょう。
今回の「ブラックホールの陰」とされる画像や第4論文で感じたのは、イメージングの概念の広がりです。写真技術から、デコンボリューションや超解像などを経て、今や、確率論や情報理論に基づく統計推定に限りなく近づいているようです。というより、そのものであるのかもしれません。
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第4論文の感想追加です。
分野が異なると、テクニカル・タームが異なってきます。重要とされる技術も違ってきます。この論文で分からなかったのは、"visibility" や "fringe" などの概念、"self-calibration"などの技術です。とにかくも、基礎がない人間が簡単に分かるものではなさそうです。
visibility
波数領域の観測量のことらしいです。クロスパワースペクトルを、空間周波数の成分の関数として表したものらしいです(難しいですが、おそらく電波干渉計の最も大事な生データなのだと思います)。
fringe
干渉縞を特定の方法で表したもの。
干渉計サマースクール 2005 教科書
http://astro.sci.yamaguchi-u.ac.jp/jvn/reduction/SS2005text.pdfself-calibration
難しいです。
https://casaguides.nrao.edu/index.php/Self-Calibration_Template
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電波干渉計について。
レンズの機能が、フーリエ変換そのものとして理解できることを光学では習います。フーリエ光学という分野もあります。いまさらですが、電波干渉計による観測と、全く同じ原理に基づくのではないかという気がしてきました。VLBIのベースラインが長いと解像度が上がることと、レンズの開口数が大きいと解像度が大きいことは、同じことなのでは!
追記 4/28
関係しそうな講義資料を見付けました。
http://www.nhao.jp/~tsumu/lecture/Welcome_files/第11章.pdf
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@ソムさん
メビウスの輪が・・・!(^^)!