はやぶさ2→小惑星リュウグウ


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    GCP-NAV

    小惑星に到着後、マッピングされた小惑星表面上の特徴点(Ground Control Point: GCP)を使って、ONCで撮像した画像中の特徴点とのマッチングを行うことで、探査機の横方向位置・速度を推定し、さらにその推定値を用いて横方向位置を誘導・制御するスキーム全体の総称である。
    (中略)
    ※尚、鉛直方向の制御は、LIDARの値を測定量とし探査機搭載系が自律推定・制御を行うものとする。

    「はやぶさ2におけるアストロダイナミクス関連の研究について」より
    http://www.isas.jaxa.jp/j/researchers/symp/sss14/paper/P2-118.pdf

    接近フェーズ:GCP-NAV(地上オペレータが介在した画像航法)
    GCP-NAVは以下のステップで行われる。

    1. ノミナル軌道の生成
    2. 探査機 位置・速度推定
    3. 探査機 位置・速度予測
    4. 制御量計算

    図7に示すようにGCP-NAVの終端時刻での位置、速度を初期条件として探査機の運動を逆伝播させることによってノミナル(基準)軌道を計算し、この軌道に沿って降下するためのフィードフォーワードΔVの時系列データを事前に求め、探査機の搭載計算機のメモリに格納し噴射する。このノミナル軌道からの探査機位置のずれに対し、高度方向はLIDARの...(中略)。
     横方向位置は、図8に示すように探査機からダウンリンクされてきたONC-W1画像中の小惑星表面の岩やクレータといった視覚的に目立つ特徴点を、事前に構築した小惑星の三次元形状モデル(S/Wモデル)上にGCPを配置したものを二次元投影して得られる"GCPマップ"と重ね合わせ、地上オペレータによる画像マッチングを行った結果として推定する。
     さらには、....(後略)

    「小惑星探査機『はやぶさ2』の航法誘導制御における自動・自律機能」より
    https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=1659&file_id=22&file_no=1


    かなり詳しく分かりました。小惑星の三次元モデルがないとできない航法なので、事前の小惑星の多方向からの撮影に時間をかけていたのですね。画像のマッチングを人手で行っているところが意外でした。

    閑話ですが、探査機や衛星からデータを取得する場合を、ダウンリンクすると言うようですね。インターネットの場合のダウンロードとは違うんのですね。(厳密には、下り線のことをダウンリンクと呼ぶと思うので、ダウンロードが動作を示すのに対し、ダウンリンクは経路だと思います。従って、インターネットでもダウンリンクを使ってダウンロードしているのだと思いますが、「ダウンリンクする」とは呼ばないのですね)


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    はやぶさ2の小型カメラ(サンプル装置をモニターする)の映像が公開されました。小惑星に着地する瞬間が写っています!

    https://www.youtube.com/watch?v=-3hO58HFa1M


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    はやぶさ2→小惑星リュウグウ@ソム が発言 :

    接近フェーズ:GCP-NAV(地上オペレータが介在した画像航法)

    この後に来るのが、タッチダウンの「最終降下フェーズ(TM 画像を用いた自律画像航法&自律 6 自由度制御)」です。説明にあるとおり自律制御(=人の指令を介さない制御)だそうです。このときにターゲット・マーカーを使うそうです。実際のONC-W1画像が公開されました:

    タッチダウン運用(TD1-L08E1)におけるターゲットマーカ追尾動画
    https://www.youtube.com/watch?v=zDPPk8exxV8

    ターゲット・マーカー(TM:直径 10cm の表面が再帰反射特性をもつシートで覆われたバウンド特性が低い球)にフラッシュ・ランプを断続的に照射しながら撮影し、ランプ照射時と非照射時の差分から、TMの位置を画像検出してゆくそうです。
    https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=1659&file_id=22&file_no=1


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    はやぶさ2→小惑星リュウグウ@riffraff さんが発言 :

    水もマグマもなさそうですので、崖にせよ、谷にせよ、生成原因は謎ですね。

    サイエンスに発表の論文3のプレスリリースには、以下のようにあります:

    崖崩れの証拠も多く見つかった(レーザ高度計のデータ)。こうした地質活動による表面更新のスピードはかなり速い。

    論文を読むと、"slumping" や "mass wasting"(地滑り、崖崩れ)というキーワードで書かれているデータのようです。クレーターの内壁やスロープ部分に、高度変化や岩石の積み重なり・レゴリズの堆積の偏り(下図)が見られるようです。この地滑りの方向は、"consistent with Ryugu’s current geopotential" だそうです。

    0_1553383364514_Fig2C-Sugita-et-al-2019.jpg
    Fig2C. from Sugita et al., Science 2019


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    はやぶさ2→小惑星リュウグウ@riffraff さんが発言 :

    しかし写真の見ると地面かなりスカスカなような

    はやぶさ2→小惑星リュウグウ@ソム が発言 :

    やはり瓦礫の塊というイメージがしっくりきます。すき間もたくさんありそうです。

    写真から持っていたイメージは、かなり当っていたようです。サイエンスに発表の論文1のプレスリリースに以下のようにありました:

    • リュウグウはラブルパイル(瓦礫)天体である
      精密な重力計測と形状モデルから、リュウグウのバルク密度(質量を体積で割った値)は、1.19±0.02 g cm-3と低いことが明らかになった。炭素質コンドライト隕石の粒子密度を使うと、空隙率(粒子間にある空隙の体積割合)は50%以上となる。


  • @ソムさん
    ざっと論文斜め読みしましあ。
    いろいろ考えさせられました。
     ①人の眼やカメラ、あてにならないしすぐ騙されますが、直感を含めて馬鹿にしてはならない
     ②私の(物理・地学周り)の常識が、地球と謂う環境にどっぷり遣ったものだということ。

    これからも色々驚かせてくれるかとワクワク!(^^)!


  • Global Moderator

    はやぶさ2→小惑星リュウグウ@ソム が発言 :

    8月2日の資料では、LIDARによる測定のほか、小惑星の形状モデルや、重力計測降下についても述べられています。興味深かったのは近赤外カメラによるスペクトル計測の結果でした(p.10-13)。全表面の90%以上を観測できたが、水の吸収スペクトルはまだ観測されていないそうです。

    このように去年の夏の時点では、「近赤外分光計の初期観測結果」として、

    • 3µm付近の水の吸収は今のところ検出されていない
    • リュウグウ表面は予想よりも水が枯渇しているようである

    と発表されていました。しかし、今回発表の論文2のプレスリリースでは、

    (1)リュウグウ表面の近赤外反射スペクトルには、水酸基に起因する波長2.72マイクロメートルの吸収が見られた。これはリュウグウ表面に含水鉱物として水が存在することを示している。

    とあります。論文2によると、この吸光は小惑星全体で見られるらしいので、測定箇所が悪かったということでもなさそうです。この間の齟齬について考えられるのは、データの精度でしょうか。論文には、複数回のスペクトル測定が行われたとあります:

    • 6/21 - 70 km の距離からの測定
    • 7/11,19
    • 8/6-7 - 1 km の距離からの測定

    もともと反射率(アルベド)の低い天体ですので、距離が離れていると、スペクトルのS/N比が取れない可能性があるのかと思いました。


  • Global Moderator

    論文2のキーワードとして「水質変成作用」(chemical alteration by water, aqueous alteration, metamorphism)があると思います。このテクニカル・タームの意味は、「コンドライト母天体における岩石と水との相互作用によって,もともとの物質が変化すること」だそうです(※)。

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikyukagaku/51/1/51_1/_pdf

    岩石もお芋と同じように、煮ると変性するということらしいです。穏やかな地球表面に暮らす私には、(水が様々な物質をよく溶かし、反応性の高い物質と知ってはいても)なかなか馴染みのない考え方です。しかし、これが分からないと、論文2の面白さは分かりにくいのかなと思いました。



  • @ソム さん
    論文2これも斜め読みですが、とても面白いです。
    多分H2Oだとは思いますが、ざっとグラフとSupplementary Materialsを見た感覚ではS/Nゲインを取りすぎている可能性が残っているような??
    i.e.ターゲットエリア近傍の感度を上げている可能性

    じっくりと、時間を取って読んでみます。


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